築地本願寺 仏教文化講座

「高齢者多死社会の看取り」

2月23日土曜日は職場の先輩のお誘いで

こちらに行ってまいりました。

 

日本尊厳死協会の理事長

岩尾先生による一時間ほどのレクチャー

統計データをひきながら

我々が近く迎えることになる多死社会における

看取りの在り方をわかりやすく解説してくださり、

内容充実の講座でした。

職業柄、旅立たれる方を見送ることも少なくありません。

特に特別養護老人ホームでの訪問ケアは

月に一度のペースなので「また(来月も)お会いしましょう」が

叶わないこともあるのです…

施設ではみな穏やかに、

良い意味で枯れるように静かに旅立たれますが、

やはり自分自身、また身近な家族にに置き換えてみても

旅立ちの日について考えない日はありません。

 

 

今日の講義の中では

病気と闘うだけの医療についてはやはり問題提起がなされました。

現代の医師にとっては「死」は敗北を意味するのだそうです。

これはこれまでの医師を養成する医学教育において

死に対する専門教育の少なさが、

看取りを難しくしているという説明においてとても納得できました。

病に対してそれを遠ざけたり排除するという治療技術ばかりが進化しても

健康に対する知識や経験が極端に少ない医師が多い日本の医療界では

多様化する社会における死をどう支えていくのか

これは本当に大問題なのではないでしょうか。

 

途中で日本医師会の生命倫理懇談会の資料の紹介があり、

スピリチュアルケアにも触れられていました。

今回も築地本願寺が開催した講座でありましたし、

すぐお隣の聖路加病院ではご存じのとおり

キリスト教司祭によるスピリチュアルケアが実践されています。

最近は宗教の種類や宗派を問わず

宗教家が自ら看取りや残された家族へのグリーフケアに言及したり、

実際に活動をされることも見聞きするようになりました。

やはり死と宗教は親和性が高いようです…

また、死期が近づくにつれて

日常生活において

大きな問題になるのはやはり食事のことですが、

現代は経管栄養による栄養摂取が可能になったので

食事をしなくても何年も生きることが可能です。

回復可能な疾患の場合や術後など一時的活用は

とても良いことだと思いますが、

高齢者の場合はとても長い長い期間の使用になるので

傍らで見ていて厳しいものもあるような気がします。

 

経口摂取が難しくなってからの過ごし方について

身体への栄養が取れなくなってからは

心の栄養を満たすことへ努力するべきだという説明がありました。

そして心の栄養補給には嗅覚がとても役立つことや

死を迎える不安を和らげるのには、

寄り添い…一人じゃないよというメッセージを伝えるために

触れること(タッチ)

とても効果があるり利用価値が高い手法として紹介されました。

寄り添い方の一つの方法として

「ユマニチュード」の見る・話す・触れる・(立つ)をアプローチをひいていらしたのも

私にとっては共感すべきことが多く、

ケア現場に携わる作業療法士として、

そしてアロマセラピストとしてとても勇気をもらえました。

 

その他、自分がどのような最期を迎えたいかについての

人生会議(ACP)の意義や

長きにわたって世界中で議論されている

尊厳死と安楽死の在り方についてなど

多方面からのとらえ方をつぶさに紹介してくださいました。

人生会議については安易に言葉が独り歩きすることを

危惧される方も多くいらっしゃいますし

安楽死については倫理上も国内では司法の上でも

まだまだ大きな課題山積みのようです。

これらは自分も、もっと勉強しなくてはいけないと思います。

 

私なりにこれまでの経験や今回の講義を受けて整理できたことは

1.まず「生物学的な死」のプロセスをしっかり理解すること

2.そしてその死にはどのような「痛み」が伴うかを知ること

肉体・精神・社会的・そして魂の痛み

3.その上でどのような最期を迎えたいかを考えること

延命処置、鎮静、尊厳死や安楽死の定義や問題点を理解する

4.3で決めたことが実行される効力を持つ手段を探ること

「事前指示書」などは未法制化なので自分の意思をどのように伝えておくかが重要

「人生会議」への理解を深める

5.4については撤回の意思や最終的な意思決定ををどう判断するか伝えるかも課題

などなど…

 

まだまだ勉強することはたくさんあるのですが

死を迎えるまでの大切な時間を過ごされる方が

対話、交流、を通じた「そこに在るだけのケア」を必要とした時に

タッチやアロマが何かしらの助けになると信じて

これからも精進したいと思います。

 

でも毎回残念に思うのは

この手の勉強会を聴講される方のほとんどが

ご高齢の方ばかり…という事実。

 

明日はわからない自分のいのち。

何も無い時にこそ

時間のある時にこそ考えるべきではないのかなぁ…などと思ってしまいます

例えわがままな表現に聞こえたとしても

自分のいのちの取扱説明書は自分である程度決めておくことは

生かされている命に対しての責任なのではないかななどと

少し壮大なことも心に浮かんできました。

 

本当は生まれてくるいのちの勉強と

セットで学ぶべきことのような気がするのだけども

…まだまだ難しいのでかもしれませんね…

 

本当によき学びでした。

 

築地本願寺は建造物も見ごたえがあります。

本堂・石塀・三門門柱(正門・北門・南門)が

国の重要文化財に指定されているのです。

本堂は少しエキゾチックな雰囲気もあります

併設のカフェtsumugiもおしゃれでおいしいのですよ。

人気の朝食メニュー「18品の朝ごはん」は整理券配布による限定メニューです。

受講前にランチで頂いたかき揚げランチ。ミニ天丼と天茶漬けの2つが味わえます。

 

市場は離れてしまいましたが

お近くにお寄りの際には足を運んでみてくださいね。