みなさん、こんにちは。

6月は「いのち」についての学びが続きました。

 

マギーズ東京へ見学に伺った翌日6/10は

NPO法人 日本ホリスティック医学協会が主催する

映画「いきたひ」の上映会へ…

 

前日とはうってかわって、雨で肌寒い日曜日でした。

 

 

 

映画「いきたひ」~家族で看取る~

 

この映画は「家族で看取る」というサブタイトルにもあるように

ある家族が看取りを通してみつめたいのちの記録。

 

末期がんの夫を自宅で看病しながら

その姿を映像として記録していた

長谷川ひろ子さんが自ら

脚本を書き、

メガホンをとり、

構成、ナレーション、テーマ曲の作詞作曲など

5役をこなして完成させたドキュメンタリー映画です。

 

講演会のプロローグでは

この映画を取材したNHKの番組の一部が

映像として流れていたのですが

そこで監督が仰っていた言葉がまず印象的でした。

 

亡くなった後は辛くてつらくて、映像を見る気にもなれなかったのですが

(生還を信じて記録として残すために撮影をしていたので)

3年ほどたって(あの記録で)「映画を作ってみたら?」と

ひとに勧められ、映像を見直してみたところ、とても多くの気づきがあったのです。

その最期は壮絶でとてもつらいことばかりだと思っていたのに

映像の中で夫は輝いていました。

これはたくさんの人に見て頂くべきものだと決意し、

気が付いたら映画製作をはじめていたのです。

 

 

映画については看取りを見つめたドキュメンタリーなので

涙なくしては見られない

時には直視できないような場面もあるわけで

単純に

 

「いい映画だよ。是非見てね」

 

と、誰にでもおすすめできるものではないというのが

私の率直な感想です。

 

 

でも「いきたひ」という映画は

人生最期の大事な時間を「患者」として生きるのではなくて

一個の人間として生ききろう…

そういう思いを叶えてくれる場所やサポート

そういう希望に寛容になれる社会が

もっともっと広がってほしいな…という重要なメッセージを

私たちに伝えてくれる今の時代にこそ必要な映画だと思います。

いのちや看取り、

自分の中に在る死生観のようなものを

見つめなおしたい、考えてみたいという方には

是非とも見て頂きたい作品です。

 

がんとの向き合い方はひとつじゃない、人それぞれ

 

もちろん、最先端の医療を駆使して

最期まで病に対峙するのも一つの選択です。

でもそれだけをよしとするのも少し違う気がしています。

 

そして、それ以外の治療法を

全て怪しいものだと言って排除するのもなんだか違う気がするのです。

 

マギーズ東京の秋山さんも仰っていましたが

がんの治療という急行列車に飛び乗ってしまったら

途中で休むことも、降りることもなかなか難しい。

がむしゃらに突き進むうちに

自分が自分でなくなっていくような感じにさえなるといいます。

猛スピードで進むと近くにある景色は

眼に映らないですものね…

 

「わたし、本当はどうしたいんだろう」

 

この問いが心の内にあらわれることは

治療中の方にとって本当につらいと思います。

 

がんという深刻な病魔と共に在る状態だからこそ

内なる生きるエネルギー、

残されたいとしい時間をすべて

闘病に使ってしまうのではなくて

会いたい人に会ったり

したいことをしたり

行きたいところへ行ったり

そんな当たり前のことをしてた日々を重ねていきたいなぁ…

治療はチョットお休みしたいよ…

もういいよ。楽しいことでいっぱいにしたいよ。

 

そんな風に思う人だって実はたくさんいるのではないでしょうか。

周囲に気を使って、行動に移せない人もたくさんいるのではないでしょうか。

 

 

治療の多様性、選択について寛容になれる気づきをもたらす

 

さて、話を映画に戻しますが…

 

患者としてではなく一人の人間として生き切ることができたなら

寿命の長短をに価値を置くのではなくて

充実した、いい人生だったととらえることが可能になるかもしれないし、

少しだけ、ほんの少しだけ死を受け止める勇気につながるかもしれない。

 

そしてその生き方、生きるスタンス、佇まいは

肉体の命が尽きたとしても

生きる力(エネルギー)となって

遺された方々の心の内に生き続けるのではないでしょうか。

(長谷川監督は「そんなつもりはなかったのに、グリーフケアにつながっていたことにもあとから気づかされました」と仰っていました)

 

この映画のメッセージ、本当にとてつもなくたくさんあって

そう簡単に受け止められるものでも

文章にできるものでもなかったのですが

映画をみたことで私自身も少し学びが深まったことを自覚したエピソードがあります。

 

それは映画を見て10日以上たったある日

私がブログ記事をいまだまとめられなくて

のそのそ、もやもやしているころ、

昨年がんで亡くなった小林麻央さんの一周忌でマスコミがにぎわっていました。

 

昨年お亡くなりになった時は

こんなに若くして、しかも小さなお子様が居るのに

「どうして積極的治療(この表現が妥当かも少し疑問ですが)をしなかったのかな」と

正直、少し疑問というか違和感があったのです。

 

でも、映画を見た後の私の受け止め方はまるで反対でした。

 

「ああ、この方は最期まで二人のお子様のお母さまであり続けたかった。

海老蔵さんの妻であり続けたかった。小林麻央であり続けたかったんだ!」

「なんて清らかで強い女性だったのだろう!」と

昨年と全く違う感想を胸に抱きました。

 

私の様な浅はかな人間でも

麻央さんの素晴らしい選択を

素直に受け止められるように

考え方の間口を少し広げてくれるのが「いきたひ」という映画です。

 

この映画から私はとても大切なメッセージをを受け取ったのです。

 

たくさんの「死」をどう受け止めていくか

 

わたしはがんの積極的治療そのものを否定はしません。

外科的治療

放射線

化学療法

やはりこの3つをすべてゼロにしてがん治療を語るのは時期尚早だとおもいます。

 

なぜならばそれ以外の選択をした場合の治療のモデルや

治療法の種類やそれぞれの両方が持つリスクと利点などが

充分に整理できていないからです。

 

でも、人間はやっぱり機械ではないし

「悪いものだからこらしめよう」

「悪いところをどんどん切って交換しよう」というのは

少しだけ乱暴な気がするのです。

人間の身体も自然の一部だからこそ

全てをコントロールできないと理解したうえで

どこかのタイミングで自然に身を任せることになるのではないかと思います。

 

 

ホリスティック医学協会の今年のテーマは「魂の医療」。

こころ、からだ、そして魂。

この3つが良い状態であることを目指すホリスティックな価値観においては

生命体としての命が尽きてもなお、魂は輝き続けるということを

皆で共有しようという壮大なプロジェクトです。

 

映画「いきたひ」は「魂の医療」というテーマに

とてもよく調和していたと思います。

長谷川監督の強くて、優しくて、なんといっても明るいまなざしは

超高齢社会の次に到来する

たくさんの死を受け止めなければならない辛い時代を担う私たちにとって

大きなエネルギーを注いでくれていると思います。

 

「いきたひ」は各地で上映会を開催しています。

公式ページをチェックして

お近くで上映がある場合は是非とも足を運んでみてください。